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「あ~もうっ!! 全然手がかりのひとつもでてこないわ」 一日の捜査から帰ってきたミシェルが不満を漏らす。 オレがパリに来てからもう二週間 がたつが、一向に捜査は進展しない。 「麻薬の売人はゴロゴロ出てくるんだけどなぁ~。どうして大本が割れないんだろう?」 ひと足先にオフィスに戻っていたオレは、ミシェルにコーヒーを渡すと隣に座った。 「大本が賢い奴なのよ。絶対にバレないように、売人達とも取り引きは別の所でやって、 アジトの場所は明かさないんじゃないかしら」 「多分、そうだろうね。――だとするとますます捜査は難しくなるぞ」 ミシェルはタメ息をついた。ブロンドの髪をかき上げると、さらさらと音を立てて彼女 の頬のあたりを髪がすべり落ちる。彼女は本当に綺麗だ。素直にそう思う。だが恋愛感情 はない。 ――実は彼女は豚だ――なんてオチはなしで、だ。 なにせ彼女は25歳でオレは18歳だ。とても18歳には思えないといつも言われるが、誰が何と 言おうともオレは本当に18歳だ。自分から歳を名乗らなければ、たいてい24、5歳に見られる。 オレってそんなにフケてるのだろうか……。 ジュリーに言わすと、〝18歳と言えば青春真っ 盛りっ! だけどアンタはもう枯れちゃった人みたい〟だそうだ。 そういうジュリーだって、奇人変人ならぬ奇豚変豚にあてはまると思うのだが…。 「ミシェル、疲れてるんならもう帰った方がいいんじゃないか?」 眠りに落ちそうになったミシェルをオレは呼び戻した。 「ええ……そうするわ。――ロイ、帰るわよ」 ソファで寝そべっていた彼はひらりと床に降りた。ソファにはジュリーも寝っころがって いて、上品に足をクロスさせている。人間の美女がやればきっと色っぽいのだろうが、 ジュリーがやってもただの足クロスだ。 「それじゃあ、お先に。おやすみなさい」 「おやすみ。ロイ、ミシェルが居眠り運転しないようにちゃんと見てろよ」 『まかせておけ』 まことに喜ばしい事に、オレは二週間で犬語をマスターした。