第3話 脳波測定T

  ライン


「こちらです」 部屋に通され、大きなベッドの前に立つ。指示された通りにジュリーをベッドの上にのせ、座らせる。 その彼女の頭に丸い金属の機械がポコポコと取り付けられていく。 ―――額の辺にふたつ、てっぺんにひとつ、耳のサイドにひとつづつ、そして首に近いところにふたつ。            「大仏の"螺髪"みたいでカッコいいぜ」 『誉めてくれてどうもありがとう。とってもうれしいわ』 「どういたしまして」 そんなことを言い合っている間に、器械の準備が整ったらしい。医者が真剣な顔でオレに言った。 「始めます。」 どうやら彼は相当緊張しているようだ。まぁ、それも無理はない。彼はいまだかつてブタの脳波なんて 調べたこともないだろうし、できることならやりたくもなかっただろう。 医者は器械のスイッチをONに入れた。 「・・・バチバチッ・・・」 「うわぁっっ!」 弱々しい情けない医者の声が部屋中に響き渡った。 「ヒイィッ!どうなってるんだっ!」 彼はオレ達から飛びのいて床にしりもちをついた。かなりうろたえている。しかし、なぜだかうろた                  えているのは彼だけで、ほかの人は全く驚いていない。                   それもそのはず、その他の人というのは、オレとミシェルとダイアンだからだ。 どうやら2人とも                  こうなるんじゃないかと予想できたらしい。 それにしても、この医者の驚き方にはこっちがびっくり                  である。確かに脳波計の針が振り切れてさぞ驚いた事だろうが、君がしっかりしていてくれないこと                  にはどうしようもない。                   「大丈夫ですか?」                  オレの笑顔の微笑みに、医者はなんとか正気を取り戻したようだ。                   「あぁ、はい、もう大丈夫です」 「もう一度やりますか、先生?」 オレの質問に医者はビクッとしながらも、蚊の鳴くような声で返事をした。 「ええ。もう一度やってみて、それでもだめだったら諦めましょう」 いいのだろうか、そんなにあっさり諦めてしまって・・・。  まぁ、とにかく2回目に挑戦してみよう。




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