第3話 主催者は○○

  ライン


彼女の話を短くまとめると、こうだ。 ―――パーティーの主催者は、ハインリヒ・ドゥ・ラ・フルトと言う28歳の男で、ミシェルから聞 いたところによると、"甘いマスクの美男子で、身長187cm、父は警察長官で自身も司令官の                    ポストで活躍中"―――という、文句のつけようがない肩書きの持ち主である。 いわゆる"三光"というやつだ。そういえば、最近あまり"三光"という言葉は聞かなくなったが、 居るところには居るものだ。 そんな彼にミシェルは招待された訳なのだが、彼女は彼があまり好きではないらしく、なんとか 断りたいということだった。  「ハインリヒはね。それはもう、文句ナシにカッコイイけど、ナルシストですっごい自信家なの。 おまけに、自分の高学歴を鼻に掛けてて、まわりの人をすぐにバカにするのよ。そんな人、 私は好きになれないわ」 「ふんふん」 オレは頷いた。全くそのとおりである。オレがもし女だったとしても嫌だし、そもそも、こーゆー タイプはできればお友達になりたくない。 しかし、気の毒なことに、ミシェルはハインリヒから随分と好かれてしまっているようなのだ。 ────その上、ナルシストの彼はミシェルが何度断っても自分が嫌われている事に気づかず、 今回もしつこくパーティーへ誘ったらしい。 要するに、オレはミシェルの"ダミー恋人"になればいいというわけだ。 「…話はわかった。オレみたいなガキでもいいなら、ダンスパーティーに出るよ」 一応、オレは確認をとっておくことにした。田舎モンのガキでもいいから電話をしてきたんだろうが、 本当にダミーが務まるのか、自分でも疑問に思わなくもない。 「ありがとう。でも、あなたなら絶対に17歳とはわからないから、問題ないわよ」 ミシェルはサラリと言ってのけた。何も心配していないような口ぶりだ。 しかし、彼女の落ち着きよりも、オレには気になったことがあった。 「―――オレ…、そんなに老けてるのか?」 改めてガックリと頭を垂れる。 オレが昔から気になっている事の筆頭に、この「老け顔」がある。 …しかも最近、実年齢と外見との解離がますます進んでいる。なぜだろう?                  「老けてるって言うより、大人っぽいって感じなんだけどね。ランディーを知らない人なら、まず                   間違いなく"25、6に見える"って言うはずよ。だから大丈夫」                  ミシェルはそう断言した。そこまでハッキリ言われると、自分でも25歳ぐらいのような気がしてくるから                  不思議だ。オレは自分でも知らないうちに、どこかで記憶を落として来たりしているのだろうか・・・?                  『そんな訳ないでしょ。あんたのその鈍感さは間違いなく17歳よ。さっさとミシェルに何をしたらいいか 聞きなさいよ!』 突然、ジュリーが横槍を入れてきた。コイツは本当にマイペースで、自分の思ったことはすぐ口にする。 オレの育て方が悪かったのか、良かったのか。未だによくわからない。 しかも、オレが鈍感とか、一体なんの話なんだろう?  でも、ジュリーの言うとおり、話を進めた方が良さそうだ。




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